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「青の洞窟」を見に行くため、
「フニコラーレ」に揺られてカプリ島の中心部へ。
フニコラーレを降りたカプリ地区は、
世界中のセレブたちが集まるという高級ブティックが
軒を連ねるエリアで、世界でも一流の
ブランドブティックが勢揃いしていると聞きます。
ですが、セレブでもなければ、高級ブランドなどに手を
出せるほど財政事情が豊かではない私たちには、
あまり縁のないエリアだったということができます。
素敵な街の雰囲気だけを楽しんで、
アナカプリ地区へのバスに乗りました。
15分ほどでアナカプリ地区に到着したと思います。
こちらは先ほどのカプリ地区とはがらりと雰囲気が変わり、
素朴な街並みです。こぢんまりとした雑貨屋、小さなお土産物店、
カジュアルに楽しめそうなレストランなどがあり、
多くの観光客が思い思いにのんびり
島の空気を楽しんでいるようでした。
青の洞窟を見終わったら、
またここのエリアに戻って食事や買い物を楽しもうと決め、
ひとまず青の洞窟行きのバスに乗りました。
というのも、よく知られているように、
青の洞窟は午前中の方がよりきれいな青さを見られるからです。
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小さなレモンの島を走るにふさわしいような、
かわいらしい車体のバスなのですが、
その運転のダイナミックなこと。
細い道が曲がりくねっていて一方は
断崖絶壁というようなところを走っているのに、
慣れているのか運転手さんは軽快なスピードで
私たちを青の洞窟の入り口まで運んでくださいました。
同行者曰く、
「カプリ島までのフェリーよりバスの方がよっぽど酔いそう」。
笑うしかない感想でした。
バスから下車してすぐの階段を下ったところが、
もう青の洞窟入り口です。
期待に胸を躍らせながら階段の上に立つと、
小さな船が穴から出てくるところを目にすることができました。
「入れるんだ」と、心の中でガッツポーズです。
イタリアの天気の神様にお礼を言いたい気分でした。
大して待つこともなく、
階段の下で洞窟に入るための小さな手漕ぎ船に乗りました。
港からボートで来た方たちも、
そこで手漕ぎ船に乗り換えていましたが、
そちらはやはり相当な人数です。
バスで来た方たちの手漕ぎ船と、
交互に洞窟に入れてくれているようでしたが、
明らかに私たちのほうが待ち時間が少なかったです。
バスで行って大正解でした。
手漕ぎ船の陽気な船頭さんが、
洞窟に入るときには寝そべって頭を打たないように
気をつけてと教えてくれます。
いよいよ私たちが乗った船の順番がきました。
実際に近づく洞窟の入り口は、
想像していたよりずっと小さいのです。
海面から1メートル程度。なるほどこれでは、
少しでも波が高いと入れないでしょう。
納得する思いでした。
頭を思い切り低くして入り口をくぐってみると、
洞窟の中は意外にも広く、
何隻かの船がそこにいました。
船頭さんがゆっくりと船を操って向きを変えます。
「さあ、見てごらん」。船頭さんの指差した入り口方向を見ると…。
青かったです。ただの青ではありません。
陳腐な表現になってしまいますが、
讃えられている通り、宝石のような輝く青です。
写真にも残したいし、ビデオカメラでもこの美しい青を記録したい。
それでも肉眼で見ておかなければもったいない。
そんな私の葛藤をよそに、
陽気な船頭さんは陽気に歌い始めました。
「ヴェニーテ アル ラジレ バルケッタ ミーア
サンタルチア サンタールチア」。
ナポリの民謡である『サンタルチア』です。
中学校の音楽の時間に習った懐かしい歌でもありました。
ビデオカメラのレンズ越しに覗いていてはもったいないと、
潔く自分の網膜にその青を焼き付けることにして、
船頭さんの歌にあわせて口ずさみながら、
たとえようのない美しい輝きを堪能しました。
洞窟の中にいた時間は正味5分程度だと思います。
あっという間でしたが、眺めていられる時間が短いからこそ、
余計に貴重な青なのでしょう。洞窟から船が出ると、
ほんのひとときの夢のような時間が終わり、
思わず小さくため息がでました。
「地球上にこんな色があるなんて」と思ったのは、
私の人生でもそうそうあることではありません。
例えばオーストラリアのやはり世界遺産であるグレートバリアリーフ。
あの青は敢えて言葉にするなら、
限りなく透明度の高いターコイズブルーとでもいいましょうか。
南の太陽を浴びて、まるできらきらきらと、
澄んだ高い音が聞こえてきそうな眩しい色でした。
同じ青でも、この洞窟の青は全然違う青さです。
輝いているという点では同じです。
こちらは暗い洞窟の中に神秘的に深く輝く、
鮮やかながら幻想的なブルーです。
地球上にこんな色が存在するなんてという奇跡を思うと、
涙が出そうになります。どんな芸術家が描いた絵画でも、
熟練した職人が染め上げた布でも、
あんな色は出せないでしょうね。
素晴らしい色を見せてくれてありがとう。
青の洞窟は、本当に青かったです。
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